「民間事業者の質を高める」有限責任中間法人 全国介護事業者協議会<略称 民介協>[介護サービス事業者にむけた国からの最新の情報提供、経営相談、研修、セミナーを開催。   目指しているのは、質の高い介護サービスの提供です。共に考え、行動しませんか]

有限責任中間法人 全国介護事業者協議会
有限責任中間法人 全国介護事業者協議会
 
 
厚生労働省へ緊急要望書提出(H19年8月3日)

緊急要望書

 介護サービス事業の普及につきましては、平素より格別のご配慮を賜り厚く御礼申し上げます。

当協議会は、平成14年9月27日、「民間事業者の質を高める研究会」として発足し、平成16年5月15日に『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会に名称を変更、更に社会的観点から法人格を取得し、平成17年6月10日付で、有限責任中間法人『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会となり、現在「訪問介護」、「訪問入浴」事業等を中心に営んでいる民間企業(株式会社・有限会社等)475社の会員を有し、活動しております。

 当協議会の目的は、

一、介護事業経営者としての理念を構築するための支援事業
一、介護サービスの質を向上させるための様々な研修会、セミナー等の開催
一、経営安定化のための経営相談業務
一、高齢者介護にかかわる情報の共有化のための会報の発行
一、高齢者が在宅でより快適に暮らすための国への要望
一、前各号に掲げる事業に附帯する、または関連する一切の業務


としております。


 さて、平成12年4月の介護保険制度施行後、2回の報酬改定が行われておりますが、民間事業者にとってはいずれも厳しい改定内容であり、特に平成18年4月の制度改革・報酬改定は民間事業者の経営にとりまして深刻な経営難を余儀なくされております。当協議会の会員数も最大530社から、現在470社に減少しており、その最大理由は介護事業からの撤退であります。このままでは、増加の一途をたどる利用者さんへのサービス提供はおろか、制度そのものを揺るがすゆゆしき事態が予測されます。当協議会として、会員総意の下、別紙要望書をとりまとめましたので切にご検討くださいますようお願い申し上げます。

要 望 事 項

 次の介護報酬の改定は平成21年4月ですが、この状態が続くと介護保険制度を創設する前に危惧していた「保険あってサービスなし」という状況になりかねません。2度の報酬の引下げにより、在宅介護事業者の経営は極めて厳しい状況にあり、事業者の撤退・倒産が相次いでいます。そのためには介護報酬の改定を1年前倒しにし、見直しいただきたいと考えます。

一、在宅介護サービスの基本報酬を、現行単価より
   最低10%以上引上げていただくようお願いいたします。



・賃金のアップ

 日本の景気回復に伴い、様々な産業で雇用の機会が拡大され、賃金が上昇、また、人材確保のため、非常勤職員の常勤化などで人材確保を進めるサービス産業も多くあり、賃金上昇、雇用形態変更など、人件費は一層上昇しています。介護予防の導入に伴い売上が減少傾向にある在宅介護事業者は、他業種間の賃金上昇や雇用形態改善などの競争に成す術も無く、ホームヘルパーをはじめとする在宅介護サービス従事者の確保が更に厳しい状況となっております。特に大都市圏では9割の事業者がヘルパーの確保ができていないのが現状です。
 又、診療報酬制度改正によると思われる病院の看護師大量募集は、訪問看護・訪問入浴・通所介護事業者の看護師不足・看護師賃金上昇に拍車をかけ、サービスを依頼されても訪問できない等、事業継続が極めて困難な状況にある事業者もあります。
 今後、増大する介護ニーズに対応するヘルパーや訪問看護師などの人材を確保するためには、他の産業と比較し、心身に負担のかかるヘルパー、訪問看護師業務に見合う賃金の引き上げと雇用環境の整備が急務です。ヘルパーの月額賃金は他業種と比較しても、12万円程低いといわれています。このままでは、現在働いているヘルパーさえも離職を余儀なくされます。「結婚しても生活が成り立つ」報酬にしてください。これは現場からの切なる声でもあります。
 また、人材を確保するためには、様々な媒体を使い募集広告を出すためにコストがかかっているのが実情です。
 ヘルパーの確保と継続的に勤務できる雇用環境の整備ができなければ在宅介護事業は成り立ちません。退職した社員の穴埋めを八方手を尽くしても補充できず、やむなく廃止する事業者も出てきており、このままでは「介護保険あってサービスなし」という事態を招く可能性があります。また、国は介護保険制度創設時の理念のひとつとして「介護サービスを使う事業所を利用者が選択できる」ことを掲げましたが、この理念も失われかねません。
 国はあまりにも事業者に対し、「サービスの質」と「コンプライアンス」を求め過ぎです。求めるのであれば、それに見合う報酬にしなければなりません。見直しの際、新たな報酬形態にするのは利用者と事業者に対し混乱を招くだけです。単に、訪問介護の基本報酬の引き上げをしてほしいだけであります。


・特定事業所加算に伴う支給限度額(単位)の増加額、加算請求の見直し

 特定事業加算の訪問介護事業所において提供される要介護者への訪問介護の介護報酬単位は、加算により1割、または2割が報酬基本単位より加算されますが、そのことにより、利用者の支給限度額(単位)は、訪問介護加算分は減少することになり、重度の在宅療養者にとっては、支給限度額(単位)で様々な介護保険サービスが提供されており、限度額上限でケアプランが設定されていることが多く、サービス提供頻度が最も多い訪問介護により限度額を超えることになり、質が高く、重度の要介護者へ対応できる訪問介護事業所からの訪問介護を制限することになっています。よって、特定事業所加算分についての利用者支給限度額を増額するか、加算分については、利用者が制限されないような体制の整備をお願いします。
 なお、介護施設では様々な体制により加算があっても、居宅介護のような給付制限額を超える全額自己負担や限度額内でケア調整をすることはありません。よって、居宅・施設の違いで介護に係わる限度額に相違がないように整備をお願いします。


・適正と不適正判断の見解統一

 今現在も東京都を始め、各道府県において実地指導及び監査が実施されています。各都道府県が判断する指定基準についてさえもサービス提供責任者が1ヶ月でも欠員が生じたときには県によっては事業所の取り消し、あるいは欠員が生じた期間の給付額を全額返還させる県があります。逆に、欠員が3ヶ月間程度生じても、早急に配置してくださいという指導だけで終わる県もあります。このように各都道府県によって判断がまちまちになっているのが現状です。
 さらに「サービス」の適正・不適正については国と都道府県と保険者間において判断がまちまちです。国が解釈通知、もしくはQ&Aで示している事例さえも独自で判断していることさえあります。国が示していない事例についてはより見解が分かれます。これでは事業者も不安でサービスが提供できません。そのためには、「独居」「同居」世帯であっても掃除は月2回までは給付できるとか、洗濯は月4回までとか、給付できるかできないかだけではなく、回数とか時間を制限した方が明確になると考えます。明確にすることにより、利用者の方も、介護保険で利用できることが理解しやすくなると考えます。ルールを明確にすることによって、国と都道府県と各保険者の見解が統一され、居宅支援事業所と訪問介護事業所の見解も一致すると考えます。


・居宅介護支援事業の特定事業所集中減算の見直し

 居宅介護支援事業の基本方針として「公正・中立」を強く求められているところであります。この方針を先行させるあまり利用者の意向がおろそかになっているのが現状かと思われます。実地指導においても特定の事業所に集中しているか否かをチェックされるのみです。
 一方で正当な理由の範囲(減算非該当であるが都道府県知事判断)としてある「サービスの質が高いことによる利用者の希望に勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合」の適用などについては、国として明確な基準や指定要件がなく、都道府県で解釈相違がある現状では、利用者の意向(選択)にそって実施したくてもできないのが現状です。「介護サービス事業所を利用者が選択できる」という介護保険制度の理念に反しているのではないでしょうか。


・介護の社会化

 介護を社会化するために、介護保険制度が創設されたはずですが、現在の制度においては「独居」「同居世帯」によって生活援助のサービスの提供ができたり、できなかったりになっています。なに故に、利用者自身への介護支援なのに、「同居世帯」には条件つきでしか生活援助はできないのでしょうか、これで介護の社会化といえるのでしょうか。

 

・看護師採用難への対応

 訪問入浴における看護師不足は深刻な状況です。現在の訪問入浴利用者は重度で医療依存度の高い方々がほとんどであり、利用者に対し、質の向上及び専門性を上げ高いサービスを提供するためには看護師は必要と考えております。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第五十条第四項では「主治の医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができる」となっておりますが、このような軽度の利用者はデイサービス等を利用しているのが現状です。看護師の採用には各事業者は極めて困難している状況になっており、訪問入浴のサービス依頼を請けても看護師が不足のため、訪問できない事態も出てきております。介護報酬改定において是非反映いただきますようお願いいたします。

 

・国の中に事業者の相談窓口の設置を

 都道府県・保険者によって制度上の判断が分かれている今日、サービスを提供する事業者は不安でたまりません。利用者は各種相談する窓口が設けられていますが、事業者にはありません。国と都道府県の見解が違う、都道府県と保険者の見解が違うことがあまりにも多すぎます。
 国として、都道府県と保険者にしっかり指導するために事業所の窓口を厚生労働省の老健局振興課もしくは保険課に設けていただき、適正な仲裁をしてほしいと望みます。


・国として人材の確保の支援

  ハローワークの中に「介護・看護専門の求人コーナー」を設け、国として

積極的にヘルパーと看護師の確保を支援していただきたい。併せて、資格を持ち、ここ何年も仕事に就いていない人たちの職場復帰をしやすくするための職業訓練を併せてお願いしたいと考えます。


・サービスの質を向上させるには

 在宅介護事業者の「人材不足問題」の一因として、研修をはじめとする業務習熟の機会が少ない、雇用環境が整っていない等があげられますが、当協議会は、その法人名で示す通り『民間事業者の質を高める』ことを目的に発足し、活動を続けております。協議会として様々な研修を実施すると共に、会員事業者の研修実施を支援しております。又、ホームヘルパーをはじめとする在宅介護サービス従事者の雇用環境改善にも努めております。
 平成19年2月23日に実施しました「平成18年度全国研修会」にも、全国から集まった発表者の事例等を今後の事業に活かしたいと、会場の座席数を超える250名の参加者で溢れる盛況でした。
 会員事業者が、厳しい経営状況の中で実行しているこうした不断の努力は、残念ながら評価される機会を得ておりません。質の高いサービスの提供を継続するためには、研修の充実、雇用環境の改善、サービス提供責任者の適正配置などに十分な費用を掛けなければなりません。しかし、賃金の上昇傾向が続いている中では、その費用の捻出が難しくなっております。特に訪問介護サービスでは、ほとんどの事業者が前年度比大幅な売上高減少となり、厳しい経営状態を余儀なくされております。介護報酬改定においては、訪問介護の報酬を引上げていただくようお願いいたします。



最後に、
 平成12年4月の介護保険制度施行以来、平成18年度には制度改正、2度の報酬改定が実施されております。制度導入時は国も、利用者も事業者も一生懸命の理解と努力で順調にスタートをいたしました。しかしながら、利用者・事業者ともに制度改定・報酬改定の都度、複雑化していく形態に、戸惑いと疑問が深くなる様相を呈しているのも現実です。制度施行8年目を迎えたこの時期、コンプライアンスを基本に介護経営に当っている当協議会会員は、これ以上の制度の複雑化は一層の混乱を招くことを危惧しております。

 新たな報酬形態の議論や新設の制度・報酬体系よりも、現制度を利用者も介護事業者も素直に理解できるよう一層の整備を切にお願い申し上げます。
平成19年8月3日
有限責任中間法人
『民間事業者の質を高める』全国介護事業者協議会
会長    対馬 徳昭
副会長   安藤 幸男
理事長   石原 美智子

厚生労働省老健局振興課
課長 古都 賢一 様




 
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